泉智揮先生

■ご自身の担当されている事や、コースについてお話ください。

地域環境工学コースは、農村を対象にしています。
農村は「食料生産」や「生活
の場を提供する役割を担っていますので、その環境を将来にわたって“持続可能”な状態に「整備」・「管理」・「保全」する技術を学んでいくコースです。

私が所属する研究室は、地域環境工学コースの中の「水資源システム工学教育分野」という研究室です。ここでは流域環境と生態系保全に配慮した水資源の開発技術と計画・設計・管理手法の研究、それから浅水域における水環境の管理に関する教育研究を行なっています。
つまり、農業には水(利用)が欠かせませんが、その水の量と質についての問題や、それらと生態系との関係についての問題に取り組んでいます。

研究室のホームページもありますのでご覧ください。
URL:http://web.agr.ehime-u.ac.jp/~water/index.htm


■どんな学生さんに選択してほしいですか?

「ものづくり」に興味がある人にお勧めしたいです。自分が設計したものや施工したものが地図に載るなどして後世にも残ります。

また、地域環境工学コースが目指すものは、食料生産基盤や生活環境基盤の整備、いわゆる、インフラ整備になります。ですから、自分も含めた「人々の暮らしを下支えする
仕事をしたい人にお勧めしたいです。

それから、「海外で仕事をしたい」人にもお勧めで、卒業後、JICA(国際協力機構)等で海外に行って技術支援を行うという道もあります。

教育研究の体制の面では,愛媛大学の地域環境工学コースは、全国的に見ても、地域環境工学という学問分野を構成する各専門分野の教員が揃っています。ですので、「大学院に進学して研究したい
人や「研究職を目指したい」人にも自信を持ってお勧めできます。


■学生さんとの思い出を聞かせてください

学生さんは3年生の後学期から研究室に分属されます。研究室に分属されてくると、授業のことや進路のこと、日常生活のことなどの話をするようになるので、それまでの授業でのやり取りだけでは分からなかった一人ひとりのキャラクターが見えてきます。そうなってくると、それぞれに個性があって面白いです。
その中でも、毎日のように部屋に訪ねてきて,授業の質問をしたり,卒業論文を取り組むようになってからは研究に関する質問をしたり,進路の相談やプライベートの話などを聞かせてくれた学生さん達は,特に印象深いです。その中の学生さんで,大学院に進学して2年間研究に打ち込んで,その研究成果を投稿論文にまとめるところまで到達した学生さんも心に残っています。


■実習について教えてください

2年生後学期に地域環境工学現地実習という科目があります。
この科目では、大学の講義や実験で学んだ専門的な知識や技術が、実際の現場でどのように活かされているのかということを、施設見学などを通して自身の目で見て、手で触れて確かめます。

また、インターンシップという科目もあります。
この科目では、主な就職先となる、国や地方公共団体、農業土木コンサルタント・建設コンサルタントや建設会社等の民間企業で、職場体験をします。

これらの実習を通して、大学で学んでいることが自分の将来にどのように活かされるのかということが分かるので、具体的なキャリアビジョンを描くことができ、同時に、大学での学習意欲も高まると思います。


■受験生のみなさんへ言葉をお願いします。

地域環境工学コースは、「ものづくり」に興味がある人、「人々の暮らしを下支えする」仕事をしたい人、「海外で仕事をしたい」人、「大学院に進学して研究したい」人、「研究職を目指したい」人たちにお勧めのコースです。

ただ、農学部に「地域環境工学コース」というコースがあることやどのような教育研究をしているのかということをあまり知らない人が多いように感じます。ですので、まずこのコースを知って下さい。そして、興味を持ったら更に調べてもらって、是非受験していただければ嬉しいです。

地域環境工学コースのホームページ:
URL:http://web.agr.ehime-u.ac.jp/~chiiki/


■今在学中の学生さんに一言お願いします。

今後の人生において、選択や判断を迫られる局面が多々あると思います。そのときに、それまでの経験やその経験から得られたことが、判断材料として役立つと思います。
そのためには,学習においても日常生活においても「広くできるだけ深く」学ぶという姿勢が大切かなと思います。理想は広く深くですが、視野を広く持つことでいろいろな視点から考えることができ、より深く理解することで物事の本質を見極めることができるようになると思います。
ですので、在学中には、興味の趣くままにいろいろなことを経験し、その経験から得られたことをどんどん吸収していってください。


■先生が今後、このコースや授業で注目してほしいところや目標を教えてください

私は大学院生をもっと増やしていきたいと思っています。
大学4年間の集大成ともいえる卒業論文に取り組んでみて、研究って面白かったなと感じた人でも、すでに就職決まっているので就職してしまうという今の状況は、ちょっと勿体ないなと思っています。研究の面白さを知ったのだから、大学院に進学して、もう少しその面白さを味わってから就職しても良いのになと思います。それには、もちろん、こちらも研究の魅力を伝える工夫や努力をしないといけないのですが。

研究をやったという実感を得るには、卒業論文だけだとモノ足りないと思います。
せっかく大学に入って専門的な知識や技術を学んで、さらに自分で現場や実社会の問題や課題をみつけてきて、自分のアプローチや解決策などを考えたり提案したりするところが面白いところだと思います。ですから、是非大学院の道も考えていただきたいです。


先生になられたきっかけは?

卒業論文に取り組んでみて全然モノ足らなかったので、大学院に進学しました。
修士課程を経て「やっぱり研究って面白いな」と思ったので、博士課程に進みました。

難しいことは、初めは全然分かりません。
それでも、毎日いろいろと考えたり調べたりしていく中で少しずつ分かってきます、例え少し分かっただけでもそれがすごく楽しいです。分かった瞬間が一番嬉しいです。それが積み重なっていったら、初めは難しくて全然分からなかったことでも、最終的には、こういうことだったのかと分かるようになります。
このプロセスを繰り返しているうちに、教員になり、今でも研究を続けています。